楽器を上達させる方法は数えきれないほどあります。
基礎練習を繰り返す、理論を学んで理解を深める、
先生や仲間からアドバイスを受けるなど、それぞれに大切な意味があります。
しかし今回は、少しユニークでありながら効果的な方法をご紹介します。
それは―― 「上手な人の”ものまね”をする」 というやり方です。
この学び方は音楽だけに限らず、スポーツや仕事、さらには日常の立ち居振る舞いにも応用できる、
とても汎用性の高い方法です。
特に新しく楽器をはじめた吹奏楽部員の人にオススメしたいです。
”ものまね”をするには「観察力」が必要
単に形だけをなぞる真似では効果は限定的です。
本当に上達につながる真似とは、相手の動きや音をじっくり観察し、
細部にまで注意を向けることが欠かせません。
演奏者を観察するときは、次のようなポイントを意識してみましょう。
- 姿勢:立ち方や座り方、体の軸の置き方
- 動作:手首や腕の使い方、力の入れ具合
- 音の出し方:どの瞬間に力を抜いているか、音が鳴る直前に何をしているか
- リズム感:フレーズや休符の取り方、間の使い方
観察を通じて「なぜこの人はこんなに自然に弾けるのだろう?」と考えながら”ものまね”をすることで、
その人が持つ“コツ”を効率よく吸収できるのです。
ドラム演奏を”ものまね”して学ぶ
ドラムは全身を使う楽器です。
手だけでなく足や体幹まで含めたバランスが必要になるため、
”ものまね”が特に効果を発揮する分野のひとつです。
観察ポイントは次のとおりです。
- 椅子の高さと姿勢:上手なドラマーは背筋をまっすぐに保ち、腕が自由に動ける姿勢をとっています。
- スティックの握り方:親指と人差し指を軸にして、他の指は添えるように支える。余計な力を抜くのがコツです。
- 手首と腕の使い方:大きな動きではなく、しなやかな手首のスナップが安定した音を生み出します。
- リズムの取り方:バスドラムとスネアのコンビネーション、ハイハットの刻みなどを観察すると、音の「間」の取り方が見えてきます。
初心者はどうしても力任せに叩きがちですが、
上手な人を真似ると「無駄な力を使わずに、大きな音とグルーヴを出す」感覚を学ぶことができます。
マリンバ演奏を真似して学ぶ
マリンバは木の温かみある音色が魅力ですが、ただ強く叩くだけでは硬い音になってしまいます。
プロの奏者を”ものまね”すると、音の表情の豊かさを学ぶことができます。
観察ポイントは次のとおりです。
- 姿勢と重心:リラックスしながらも背筋を伸ばし、体全体で鍵盤に向かっています。
- マレットの動き:跳ねるような自然なバウンドを使っているかどうか。
- 音色の変化:同じ音でも、叩く位置や角度でまったく違う響きが生まれます。
- 速いパッセージの処理:手首だけでなく腕全体をしなやかに動かしているかどうか。
上手な奏者を観察すると、音がひとつひとつ独立していながら、
全体として流れるようにつながっていることに気づきます。
その「なめらかさ」を”ものまね”することで、自分の演奏にも余裕と自然さが加わります。
真似から学べる大きなメリット
”ものまね”をすることの最大のメリットは、
独学では気づけないポイントを短期間で取り込めることです。
ドラムで言えば「手首のしなやかさ」、マリンバで言えば「叩く位置による音色の違い」など、
経験豊富な奏者を観察して初めて分かることが数多くあります。
これはスポーツにおけるフォーム習得と同じです。
プロ選手の動きを真似ると、自分の体の使い方が洗練されるように、
音楽でも「”ものまね”」が大きな成長をもたらします。
練習で真似を取り入れるコツ
「”ものまね”をする」といっても、やみくもに見て真似るだけでは効果は限定的です。
練習に取り入れる際には、以下の工夫をしてみましょう。
- 動画を使う
憧れの奏者や身近な上手な人を録画し、繰り返し観察しましょう。スロー再生すると細かい動きがよく見えます。 - 鏡を使う
練習室に鏡を置き、自分のフォームを確認しながら真似をします。映像と自分を見比べることで修正点が明確になります。 - 録音して比較する
自分の音を録音し、目標とする演奏と聴き比べましょう。動きは似ていても音が違う場合があるので、音の質にも意識を向けることが大切です。 - 部分ごとに真似する
全体を一度に真似しようとせず、「姿勢」「手首の動き」「音色」などテーマを分けて練習するのが効果的です。
10分でできる「ものまね練習メニュー」
忙しい人でも取り入れやすい、短時間の練習メニューを紹介します。
- 1分:動画を観察する
憧れの奏者の動画を見て、「今日は手首の使い方を真似しよう」などテーマをひとつ決める。 - 3分:鏡を使って真似する
実際に自分で演奏しながら、鏡を見てフォームをチェック。映像と違う部分を探す。 - 3分:録音して比較する
短いフレーズを演奏して録音し、動画や音源と聴き比べる。音の違いをメモする。 - 3分:修正して再挑戦
気づいた違いを意識しながらもう一度演奏。再び録音して確認する。
たった10分でも、集中して「観察・真似・修正」を繰り返せば大きな発見があります。
”ものまね”から「自分のスタイル」を作る
最初の段階では、上手な人を徹底的に真似することに全力を注いで構いません。
姿勢や動き、リズムの取り方、音の出し方など、細部にわたって真似をすることで、
確かな基礎を身につけることができます。これはまるで料理の修行のようなものです。
まずは師匠の味を忠実に再現することから始めることで、
素材の扱い方や火加減の勘所を自然に覚えるのです。
しかし、演奏は単なる模倣で終わってはいけません。
やがて練習を重ねるうちに、自分の身体や感覚に合った「調整」が必要になります。
同じ動きでも手の大きさや体格、感覚の敏感さは人によって異なるからです。
そこから少しずつ、自分らしい演奏に発展させていくことが重要なのです。
例えばドラムであれば、コピーしたフレーズをそのまま叩くだけでなく、
自分の好きな音楽に合わせてフィルインを工夫したり、バスドラムのパターンを変えてみたりすることで、
新しいリズムの可能性が広がります。
プロのドラマーも、最初は誰かを徹底的に真似したところから出発し、
やがて自分独自のリズムやグルーヴを築き上げているのです。
マリンバの場合は、打つ強さやばちの角度を調整し、自分なりの音色を追求することができます。
同じ曲を演奏していても、ある奏者は温かみのある柔らかい音を出し、別の奏者は力強く明瞭な響きを奏でる。
そこには「”ものまね”」から出発した上での、自分だけの表現が込められています。
さらにフレーズの間に自然な間合いを入れたり、音を少し長く響かせたりすることで、
演奏全体にその人ならではの「呼吸」が生まれるのです。
つまり、”ものまね”はゴールではなくスタートラインです。
徹底的に”ものまね”をすることで「土台」が作られ、その土台の上に自分の好みや感性を重ねることで、
やがて唯一無二のスタイルが形になっていきます。
”ものまね”ができる人ほど吸収力が高く、そこから「自分だけの音楽」を紡ぎ出せるようになるのです。
まとめ
楽器上達の方法はたくさんありますが、「上手な人の”ものまね”をする」というシンプルな方法は、
想像以上に効果を発揮します。
- ドラムなら、スティックの握り方や体の使い方を観察する。
- マリンバなら、マレットの動きや音色のコントロールを真似する。
- 練習では動画・鏡・録音を活用して、自分の演奏と比較する。
- 1日10分でも、観察と真似を繰り返せば確実に成長できる。
こうした取り組みを続けていけば、必ず新しい発見があり、
演奏はもっと楽しく、もっと深みを増していくはずです。
📅 まずは体験レッスン!
- 日時:ご連絡ください(予約制)
- 場所:江別市大麻東町ニュープラザ内(アクセス良好)
- 持ち物:手ぶらでOK!
- お申し込み:notomiki.0701@gmail.com
- HP(ホームページ):https://tototomato.com/



コメント